社労士の合格率
社労士の試験で救済が入る可能性は、問題が難しい、あるいはややこしいために 受験者の正答率が低い科目が出てきたときに強くなっていきます。
ここでもうひとつ、社労士試験の救済に大きく関与する要素があります。
それは社労士試験の合格率です。
ここで社労士の合格率がどのように推移してきたのかを見てください。
年 |
受験者の人数 |
合格者の人数 |
合格率 |
---|---|---|---|
平成14年 |
46,713人 |
4,337人 |
9.3% |
平成15年 |
51,689人 |
4,770人 |
9.2% |
平成16年 |
51,493人 |
4,850人 |
9.4% |
平成17年 |
48,120人 |
4,286人 |
8.9% |
平成18年 |
46,016人 |
3,925人 |
8.5% |
平成19年 |
45,221人 |
4,801人 |
10.6% |
平成20年 |
47,568人 |
3,574人 |
7.5% |
平成21年 |
52,983人 |
4,019人 |
7.9% |
平成22年 |
55,445人 |
4,790人 |
8.6% |
平成23年 |
53,392人 |
3,845人 |
7.2% |
(他の資格試験にも見られることですが)社労士の合格率は、大幅に変わることがないように されていることがすぐにわかりますね。平成18年までは9%前後でしたが、平成20年からは ひと回り下がり気味になりました。受験者の数も増加傾向が見られるだけに、 社労士の合格率、そして合格者の人数をどうコントロールするかは、運用側には大問題でしょう (世の中に送り出される社労士の人数をコントロールすることも大切ですから)。
ここで社労士の試験問題の救済のことを思い出してみましょう。救済は、難問の影響等で 正答率がよくない科目で実施されますが、合格率をコントロールする都合も大きく関係します。
数万人もの試験解答を詳細に管理して、「1点の救済をすることでどれくらい合格者が変わるか、 合格率が変わるか」を、社労士試験の運用側では(非常に執拗に)試算して決めているのです。
社労士の救済の予測が難しいことは、合格率の変化にも原因があるのです。
社労士の合格率はとにかくかなりの低さですから、社労士になりたいと決めたら 絶対に12~13人に1人くらいの確率でしか合格者が誕生しないことを肝に銘じて 受験勉強に乗り出すべきです。しかも、この数年の社労士増加ブームはまだ 衰える気配がありません。増えまくる競争相手をことごとく蹴落とすくらいの 意気込みで取りかかってほしいものです。
そのためにどう行動するべきか、は次以降のページで汲み取ってください。
社会保険労務士試験の合格基準
これまで見てきた試験科目ならびに出題形式に引き続き、このページでは、社会保険労務士試験の「配点」「合格基準」について確認していきたいと思います。
ちなみに、社会保険労務士試験の「合格基準」については合格発表とともに公表され、基準点は年度によって若干異なります(その年の試験の難易度によって調整が行われます)。ここでは、直近の第45回(平成25年度)試験のものを、参考までに掲載します。
(1)合格基準
本年度の合格基準は、次の2つの条件を満たした者を合格とする。
①選択式試験は、総得点21点以上かつ各科目3点以上(ただし、社会保険に関する一般常識は1点以上、労働者災害補償保険法及び雇用保険法、健康保険法は2点以上)である者
②択一式試験は、総得点46点以上かつ各科目4点以上である者
*上記合格基準は、試験の難易度に差が生じたことから、昨年度試験の合格基準を補正したものである。
(2)配点
①選択式試験は、各問1点とし、1科目5点満点、合計40点満点とする。
②択一式試験は、各問1点とし、1科目10点満点、合計70点満点とする。
「配点」については特に問題もないかと思いますので、ここでは主に「合格基準」について詳しく見ていくことにしましょう。
まずは、社会保険労務士試験に合格するために必要な「正答率」ですが、選択式試験は40点満点中21点ですから「52.5%」。一方、択一式試験は70点満点中46点ですから「65.7%」ということになります。社会保険労務士試験は難関試験として知られていますが、正答率からもわかるとおり、実はそれほど難しい試験ではない。むしろ実態を知らずに、名前と格にビビってしまっている受験生が多いというのが実際のところなのです。
ただし注意も必要です。合格基準の文言の中に、選択式試験で言えば「各科目3点以上」、択一式試験で言えば「各科目4点以上」とあります。これはいわゆる「足きり」と呼ばれるもので、たとえ総得点が基準を満たしていたとしても、1科目でもこの3点ないし4点を下回ってしまうと不合格になってしまいます。なので、必要な正答率だけを見て、楽な試験だと決めつけてしまうのも早計です。
なお、この「足きり」については、その対策を次のページにコラム形式でまとめていますので、そちらもぜひ参考にしてみてください。